21歳単身タイでの挑戦|シリエスポーツクラブ 桝井かほ

毎週月曜日掲載の「わたしたちの想い」コーナー。
今回はタイ・シリエスポーツクラブで働く桝井かほさんにインタビューをさせていだきました。

タイ・シリエスポーツクラブ
https://cilie-sports.com/

21歳で大学を中退し、単身タイ(チョンブリ県シーラーチャー郡)のスポーツクラブで働くことを決めた桝井さん。
大きな決断の背景にある、桝井さんの”想い”とは?

※注意
この記事は桝井さんの実体験に基づいた個人の主観・感想を掲載しております。

人が集まる場所をつくりたい

ーーいきなりですが、なぜ大学辞めてタイに行くことになったのですが?ここが気になって他の質問ができません(笑)

はい(笑)
私は奈良県で生まれ育ちました。ご存知の通り奈良はすごく歴史がある素敵な場所なんです。
でも、年々街の活気がなくなっている気がしていて・・
「この先、歴史がある場所でもどんどん人が来なくなるのかな?それはすごく寂しい。こういうところにもっと人が集まるのはどうしたら良いのか?」そんなことを高校生の時に考え始め、大学は歴史を学ぶために文学部の歴史学科に入ることしました。
これが大きな間違いだったんですが(苦笑)

実際授業でやってることは、古文書を読みとくことがメインで・・・
「あれ?なんか違うぞ。これを学んでも人を集められない。やば〜い。」と思いました。

そんな中、セレッソ大阪のインターン募集をみてサッカークラブでインターンをすることにしました。
インターンをしていく中で、サッカーが与える「活気」とか「一体感」はまちづくりとの親和性が高いなと強く感じました。
ぼんやりとですが、スポーツクラブで働いてまちづくりをしていくのは良いかも〜!と思いはじめたんですよね。

その後(大学3年の冬)、知人を通して「タイでプロサッカークラブを目指している人がいる」という紹介をもらって。古文書読み続けるより自分の夢に近づけそう!と思って、大学を辞めて数ヶ月後からタイに行くことにしました。

ーーなるほど。古文書読み続けなくて良かったですね(笑)シリエスポーツクラブではどういう仕事をしているんですか?

メインがサッカースクールの運営になるので、運営面のサポートをしています。
空き時間があれば、街の商店街に行って広告販売などの法人営業もしています。
ただ、タイ語は話せないので、商店街を回ってリードだけ獲得して後はタイ人の営業にバトンタッチしています。

ーーガッツありますね(笑)どうですか?やりたかった「まちづくり」という点では可能性感じていますか?

まちづくりをしているNPOとの繋がりを増やす動きをしています。
日本では当たり前だから気が付かなったけど、街にスポーツクラブがある日常というのは素晴らしいと思います。まとまりのきっかけがスポーツみたいなのってあるなって。

私が住んでいるチョンブリ県シーラーチャー郡も、昔はトップリーグ所属のサッカークラブがあったらしく、その時はすごい賑わっていたみたいなんですよね。
現地の人に話しを聞くと、あの頃楽しかったな〜、戻りたいな〜っていう人も結構いて。
一緒に賑わいを取り戻したいなと思っています。
チョンブリ県は工業地帯で日本人も多いので、うまく巻き込んで共同のエンターテイメントをつくれたら良いなと。

タイでの生活と仕事

ーータイではどんな生活をしているんですか?

やばい生活をしていました(笑)

ーーん?(笑)

なるべくタイ人と同じ生活をしようと思っていたので、月1万5千円くらいのアパートを借りたんですけど。
その家の鍵がトイレのような簡易タイプの鍵で・・・
外から強く引くと開いちゃうんですよね。
一度だけ、外から開けられたことがあって、その時は恐怖を感じました。
住人は、夜の時間帯に繁華街のお店で働いている方が多いこともあり、夜中や朝方に物音がしたり・・
良い環境ではありませんでした。

ーー何事も挑戦する姿勢ですね。仕事はどうですか?楽しい?辛い?

すごく楽しいですが、初めての一人暮らし且つ、異国の地でうまくいかないこともあり、一睡もできずできずに朝を迎ることも多々ありました。
今まで正直そんなに苦労した経験がなくて。
一方で若い時に苦労しておきたいという気持ちもあったので、「しんどいな〜」って思う時は「良い経験しているな〜」とポジティブに捉えていました。

ーーサッカー界って男性が多いですよね?そういったところでの抵抗ってありましたか?

サッカー業界は、普通の業界に比べて「男女」の区別が激しいように感じます。
男性のスタッフが女性に対して、女性の武器を使わせようとすることがあったり・・・
「女性の武器を使わせるのはどうなん?」と思ったりもしましすが、言われたら腹は立ちますが、自分も女性の武器を使っている時もあるので、プラスに働くなら特性を活かそうと思って気楽にやっています。

ーーTrinita for Socialのテーマでもあるのでお聞きしたいのですが、スポーツクラブとしての「社会貢献活動」などはしていますか?

やっています。
小学校にボールやTシャツ、ぬいぐるみをお届けしたり、クラブの日本人コーチが難民キャンプでのサッカーフェスティバルに参加したりしています。

あと、とにかく場をつくってあげることを大事にしていますね。
一概には言えませんが、タイは日本に比べると生活水準が低いこともあって、学校に行かずに自宅で仕事をしている子どもや靴を履いていない子どももいます。
そういう子どもたちが街の至るところでサッカーをしているというのはすごく良いことだと思うし、サッカーだけでも平等な教育を提供したい
なと思っています。

タイの女性は◯◯

ーータイに来て驚いたことってありますか?

若くても子どもがいる女性が多いことに驚きました。その中には留学経験があるような賢い女性もいたりして。
私が住んでいたアパートにはそういった女性が地元に子どもを預けて出稼ぎにきてるんです。
タイは法律で中絶が違法(※1)になっている上に、(主観ですが)男性が全く責任を持たないという風潮があります。
※1 現在刑法条文改正の議論がされているが、これまでは中絶は女性だけが罰則される刑法になっていた。そういった背景から違法な中絶も行われている。
それでもタイの女性は自らを捨てた旦那さんのことを悪く言わずに、「早く旦那さんに子どもを会わせたい」と言っているので健気で、なにか切ないなと感じていました。

ーー宗教や法の問題もあるんでしょうね。今のお話を聞くと男女平等に問題があるように感じますが、それ以外の部分だとどうなんでしょうか?

女性だから何かをしてはいけない!というのはあまりないように感じます。
もちろん女性で稼いでいる人もいます。
タイはこれまで相続税や贈与税がないこともあり、お金持ちの子どもはとにかくお金持ちでした。
お金で身分が分かれている傾向もあります。
20代でお金持ちの女性におじさんがぺこぺこしている不思議な光景も見かけたり・・

ーーなるほど。会社での女性の立場などはどうですか?女性が活躍できる環境や男女差別について教えてください。

タイはとにかく学歴社会です。
学歴で点数制になっていて、上から希望の会社を選べるようです。
日系企業で働いているタイ女性にお会いしましたがとにかくスペックは高く「英語・タイ語・日本語」がペラペラでいつも高級ブランドを身につけていました。
学歴がないと良い会社で働けないというのは、お金がないと高等教育を受けられないということでもあるので、お金持ちが良い学歴という傾向は強いと思います。
だから、タイ女性は「日本人と結婚して一攫千金」という風に育ってきたみたいです。
日本人と結婚したらキラキラする人生になると思っています。
これは今もまだまだ変わっていません。

ーー未だにそういう文化があるんですね。ちなみに、タイはジェンダー平等先進国と言われていますが何か感じるものありましたか?

タイは性別が18種類以上あります。
初対面で「好きな性別」を聞かれることもあります。
今の日本の理解だと考えられないかもしれませんが、タイではこれが普通です。
ジェンダーに対してはかなり理解されていると思います。

ーー素晴らしい。日本もしっかりと学んでいく必要がありますね。

子育てしながら夢を持ちたい

ーーコロナの影響で帰国したんですよね?

そうですね。
コロナ以前は日本より治安が良かったのですすが、コロナで一気に治安が悪くなった気がします。
トラックに追われたり、拳銃所持者がたくさんいるという噂を聞いたりして不安になりました。
周りの人に帰国を勧められて今は日本にいます。

ーータイに戻る予定は考えていますか?

今は正直迷っています。
タイに戻らず、日本でスポンサー活動やエージェント周りのサポートをやるのも1つの選択肢として考えています。
あとは、タイに行ったことで自分の課題や必要なスキルも見えてきたのでしっかりと勉強したいなと思っています。

ーータイでの経験は大きそうですね。ちなみに、桝井さんが人生で大切にしていることはありますか?

はい。
私は本当に周りの人に助けられながら生きてきました。
若い世代は「人脈づくり」という言葉を使う人が多いですが、私はただ輪を広げるだけではなく、目の前にいる人を大切にしたい。そう思っています。タイに行って困った時も多くの人が助けてくれました。
そして、これまでは助けてもらうことの方が多かったですが、今後は助ける側にもなりたいと思っています。

ーーパチパチ!(拍手)。では、最後に桝井さんの夢を教えてください。

実は、まだ「これ」みたいなのはないんですよね。
タイに行くのもそうでしたが、とりあえず興味があることは色々チャレンジしてみようかなって。
なので、チャレンジをし続けたいというのはありますね。
地元の友達をみていると「女性だから夢をもたない、目標をもたない。」という人がすごく多いんです。
子育てもしたいし、夢も追いたい。
それができている人も増えてきたと思うけど、まだまだ少ないと思います。
だからこそ、自分は両方を実現して証明したいし、女性に夢を与えられる人になりたいと思っています。

ーーありがとうございます。桝井さんのこれからの挑戦を応援しています!

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