デフサッカー日本代表 仲井 健人選手!独占インタビュー!

毎週月曜日掲載の「私たちの想い」のコーナー。
今回はデフサッカーの日本代表の仲井健人選手にインタビューをしました。

「デフ」とは英語で「deaf(聞こえない人、聞こえにくい人)」という意味で、ろう者(デフ)サッカーとは、聴覚障がい者のサッカーであり、競技中は補聴器を外すことが義務付けられていることから「音のないサッカー」の愛称で呼ばれています。ピッチ上ではアイコンタクトや手話でコミュニケーションを取っています。

インタビュアーはAscendersの山本が務めます。
仲井選手と山本は、大学時代に筑波大学蹴球部で共にプレーをしました。

屈託のない笑顔と強靭なフィジカルを持ち、そしてろう者なのにおしゃべり上手な仲井選手に、デフサッカーにかける熱い想いを話してもらいました!ぜひご覧ください。

ーー仲井、久しぶり!笑 今日はありがとう! 早速ですが、現在の活動内容を教えてください!

現在はデフサッカー選手としてプレーをしています。
主に、東京都リーグに所属するレプロ東京という健常者とろう者の競技者が融合したチームでプレーをしています。
TDFC(Tokyo Deaf Football Club)という東京に住んでいるデフの選手だけで作られているチームにも所属しています。デフサッカーチームは、都道府県毎に約10チームがあり、年1度の大会に出場しています。

また7つの障がい者サッカーの仲間とグループを作り、SNSで情報発信しています。
コロナが落ち着いたらウォーキングサッカーなどの活動をやっていきたいと思ってます。

デフサッカーでは大学時代から日本代表選手としてプレーしています。
今年はW杯とデフリンピックのアジア予選がある予定でしたが、コロナの影響で来年以降に延期になってしまいましたね。

ーー活動の幅が広いですね!いつからサッカーを始めたんですか?

小学校2年生からサッカーを始めました。父の勧めでしたね。
当時は乗り気ではなかったので、渋々始めました。笑
地元の少年団で競技を始めて、なんとなく続けていましたが、小学校6年で地域トレセンに受かりました。
そこでもっと上手くなりたいという気持ちが芽生えましたね。

ーー当時は少年団だったとのことで、コミュニケーションで大変だった点などありましたか?

その時は補聴器をつけてやってました。
あと、聴力も今より軽かったので、今に比べるとそこまで苦労はしなかったと思います。もちろん、多少のコミュニケーションのズレとかはありましたが…

ーーそうだったんですね。中高はどう続けていったんですか?

中学校はもっと上手くなりたいと思って、クラブチームに入りました。
最初は楽しかったんですけど、中学2年生くらいの時に、周りとのコミュニケーションがズレることがたくさん出てきて、チームメイトとの関係性が悪くなってきて、サッカーが楽しくなくなりました。
それで高校ではサッカーを辞めて、卓球部に入ろうと思ってましたね。笑

高校に入る時に、たまたま母の知人からデフサッカーをやらないかと勧められました。
デフサッカーは全然知らなかったし、サッカーはもともと辞めようと思っていたのですけど、興味は少しあったので行ってみました。
そこに行ったら自分の知らない世界がありました。そのチームには当時日本代表だった選手が何人か所属していたのですが、その選手たちのレベルが高くて、また楽しそうにサッカーをやっている姿を見て、高校でもサッカーを続けて、代表に入りたいと思うようになりましたね。

結局、高校はサッカー部に入って続けていました。
岸和田高校サッカー部で、大阪府大会3回戦進めば良い方でした。

高校卒業後は、当初は神戸大学でフットサルをしながら建築を学びたいと思っていたんですけど、高校3年の春にサッカー部の友達に、「一緒に筑波大学でサッカーしない?」と誘われました。
当時は筑波のことは知らなかったんですけど、色々調べたらすごい良い大学だということがわかり、受験することにしました。
結局その友達は落ちちゃったんですけどね。笑

僕も現役の時は受からなかったので、一年浪人して、人間学群 心理学類に合格することができました。
彼にあの時筑波を勧められなかったら今の人生どうなっていたかわからないですね。笑

ーー筑波大学での生活はどうでしたか?

筑波に入りたいという理由が5個あったんですけど、5つの理由が成し遂げられたので、本当によかったです。
「筑波大学でサッカーがしたい」「心理学の勉強をしたい」「障害学生に対する支援がしっかりしている」
「1人暮らしをして自立したかった」「自然が好きだったので自然の中で生活する」
これが全部できたのでよかったです。

筑波の大学1年の時にもデフサッカーの代表に呼ばれました。
高校の時からデフサッカーの全国大会に行ってて、またその後の代表合宿にも招集されており、監督にリストアップされたみたいです。
大学1年の時にW杯があり、そこにバックアップのような形で呼ばれてからはずっと代表に入ってます。

ーー代表にずっと入っているのはすごいですね。デフサッカーならではの特徴や違いってあるんですか?

普通のサッカーとの違いは、主審も旗を持っていることだけで、他のルールは全部サッカーと一緒なんです。
主審が旗を持っているのは、笛が鳴ったことに気づかない選手がいるので、その選手に笛が鳴ったことを視覚的に知らせるために旗をあげる用ですね。
国際大会に行くと大会スタッフがグランドの周りで旗を持っていたりもします。
チームでの決まりごととかは普通のサッカーと同じ感じですけど、試合中のコミュニケーションは手話になりますね。ただ、手話の場合、声と違って、相手が自分の方を向いて気づいてくれないとコミュニケーションが取れないです。
僕が代表に入り始めた時、当時のデフサッカー の全体的な傾向としては、ドリブルとロングボールが多かったですね。
多分、聴覚からの情報が足りないこともあり、そういう選択肢になるような気がします。

海外では、健常者のブンデスリーガ(ドイツリーグ)でプレーしていたデフサッカー 選手もいたみたいです。

ーーそれはすごいですね。海外はどの国がレベルが高かったりするんですか?

健常者のサッカーではスペインやブラジルが強いですが、デフサッカーはそうではなく、トルコ・ロシア・ウクライナです。それらの国ははサッカーをする環境が整備されてるから強いですね。
アジアでは、日本・イランが強くて、イランの場合、国際大会で優勝すると、国から家や車がもらえるみたいです。国が結構お金を出してる話を聞いたことがありますね。

ーー普通のサッカーとは勢力図も違いますね。日本代表の成績はどうなんですか?

この前のデフリンピックは予選敗退でした。
W杯は最高がベスト16でしたね。
目標はメダル、3位以上です。

前のデフリンピックではグループ予選初戦で準優勝のウクライナに予選で勝ったんですよ。
ただ、そのあとの2試合で、勝てる試合を落としたりして、予選突破できませんでした。
選手やスタッフも含めて、経験値が足りなかったと思います。

来年、デフリンピックのアジア予選があり、W杯は2022年に延期予定です。
コロナの状況があるので、なんとも言えない部分もありますが、ベストを尽くして準備していきたいと思います。

ーーW杯とデフリンピックを同時に戦って行くのは大変そうですね。

はい。
ちょっと話は変わりますが、以前にはフットサルのデフ代表にも選ばれてタイで開催されたW杯アジア予選とスイスで開催されたW杯に出場しました。
フットサルでは、フィクソとしてプレーしていました。

ーーフットサルとサッカー両方W杯に出てるとは、、カズさんも出てないですからね。

兼任は大変なので、今はサッカーに専念していますが、貴重な経験になりました。

ーーデフフットサルの勢力図はどんな感じなんですか?

アジアでは日本・イラン・タイが強いです。
世界でいえば、スペイン・スイス・ロシアが強豪ですね。
4年前くらいまでは「アジアを征する国は世界を征する」と言われてたのですが、近年ではヨーロッパも急激に力をつけていて、簡単に勝てなくはなってきましたね。
タイではとても熱狂的で、5年前にタイで開催されたW杯では、Fリーグとは比にならないくらいスタンドは満席になりました。
現在のスペイン代表には、ラ・リーガ(スペインリーグ)でプレーしてた選手もいました。

ーーそうなんですね。僕も全然知らない世界で、刺激的です。今後の目標・夢を教えてください

僕の思いとしては、国際大会でメダルを取りたいということがあります。
もう一つは、デフサッカー・デフフットサル・障害者サッカーが日本全国に普及して行くことですね。スポーツを通じて障がい者と健常者の垣根がなくなっていくことは目指したいです。世の中に偏見や差別が残ってますが、サッカーやスポーツはそういうのを取り除く力があると思ってます。障がい者スポーツを通じて、お互いの理解を深めることができたらいいなと思ってます。そのために、1プレーヤーとして、チームとして、代表として、仕事として、できることにどんどんトライしていきたいと思います。

デフサッカー・デフフットサルも、やっぱり、サッカー文化が根付いている国は強いです。
最近強くなってるトルコとかはデフサッカーチームが約200チームあるみたいです。
日本のデフサッカー・デフフットサル界もヨーロッパに比べると、まだまだ未熟な部分があるので、成長できるように頑張っていきたいと思います。

ぜひ、皆さんもデフサッカー・デフフットサルにも注目してみてください。

■参考サイト
JDFA(一般社団法人日本ろう者サッカー協会)
http://jdfa.jp/

レプロ東京 公式サイト
http://replotokyo.com/

TDFC(Tokyo Deaf Football Club)公式Twitter

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